インタラクティブWeb自習教材の開発と大学基礎英語コースでの利用

尾関修治(中部大学)
淡路佳昌(中部大学)
小栗成子(中部大学)

概要

 中部大学では2002年度より全学対象の基礎英語コース「フレッシュマン英語A, B」「総合英語A」の統一教材として、"True Colors"シリーズ(Longman)を採用した。この教材はBasic, 1〜4のレベルわけがあり、教室で使用する教材が体系的に整備されている。本発表では、このコースのクラス編成と教材の運用、授業を支援するためのweb自習教材の開発について報告する。

コースと教材の概要

 受講対象者は、中部大学1年次生全員(約2,100人)および2年次生(2002年度のみの経過措置)。コースの実施にあたって、前期は入学時の「フレッシュマン・テスト」の結果を利用し、後期は前期末のPlacement Testを利用して能力別に編成し、それぞれにTrue Colors Basic, 1, 2の各レベルを割り当てている。

 True ColorsはテキストとCD、ワークブック、プロンプタなどの補助印刷教材、各ユニットのアチーブメントテスト、クラス分けのためのプレースメントテスト、ビデオ教材(True Voices)がセットになった、よく整備された教材であり、クラスの実情にあわせて取捨選択して使用することができる。

 クラス編成と教材の取捨選択を組み合わせ、それぞれのクラスの実情に合わせて広い範囲の学生の能力を効果的に伸ばせるよう工夫している。

web教材の開発

 クラスで使用する教材としては十分なものがあるが、現実には学生の能力や動機は多様であること、週1回の授業では基礎的な反復練習は不足しがちであることを考慮すると、学生が授業外に自習利用できる補助教材が必要である。

 補助教材の一環として、出版社の許可を得て、テキストに即した内容で、webベースで利用できる音声付きのインタラクティヴな教材を開発した。(図)この教材開発の目的は以下の3点である:

1)文法や語彙の基本的な反復練習を学習者に確実に行わせる。

2)汎用性の高いweb教材とすることで、学内に多数存在するインターネット端末のどこからでも利用し随時自習できるようにする。

3)学習履歴を自動記録し、担当教員にメールなどの方法で通知することで、授業時外での学生の学習活動を教員が詳細に把握し、学習の進捗状況と効果についても随時測定できるようにする。

 教材はアクセス制限された専用のwebサイトに置かれ、学習者はweb画面上で説明を読みながら、教員に課されたあるいは自主的に選択した課題に納得のいくまで取り組むことができる。取り組んだ結果は担当教員にメールで自動的に送られる。

 開発には、ビクトリア大学が開発したオーサリングツールHot Potatoを使用した。Hot Potatoは簡単な操作でJavaScriptコードを含む教材webページを作成し、フォームメールCGIと組み合わせることでメール送信も可能である。

 少数のクラスで試験運用した結果、効果と同時に問題点も見つかり、現在改良を進めている。

 発表では、学習者の能力に合わせた各種のタスクのうちどの部分をweb教材化し自習の対象とするのが好ましいかといった設計上の課題、実際の開発手法(オーサリングツールの紹介など)、学習効果について報告する。

本発表についてのwebページ:http://www.intl.chubu.ac.jp/ozeki/academic/LET2002/
教材のwebサイト:http://truecolors.intl.chubu.ac.jp/
問い合わせ先:truecolors@intl.chubu.ac.jp